ライフワーク

4月の話ですが。

私、スペイン音楽ピアノ演奏講座、というのを受けておりますが、昨年2021年度は受け始めて10年という記念の年でした。講座は5月〜翌年の3月で一区切りなので、今はもう11年目の講座に突入しております。

そして、その年の講座が終わると4月に修了コンサートをやっています。そのコンサートも10回目ということで、この前の4月17日に行われたのでした♫

すっかりその報告もせずに、記念なのにスルーかよ、と自分で突然気がついて。(^^;)せっかく素晴らしいコンサートだったのに(あ、これは見に来てくれた友人の率直な感想)、このまま忘れてしまってはいけない、と今になって振り返ってみます。m(_ _)m

テーマはアルベニスの「イベリア」でした。彼の作品の中でも最高峰の傑作!何年か前は、自分に弾けるわけない、と拒否の感情が先に立ってしまい、まともに聴くことすらしなかった…しかしついに!飛び込んでみることになり、どんどんその曲の魅力にハマり込みました!この経験は嬉しいものでした✨

私は「エル・アルバイシン」という曲を選びました。先生が取り掛かりやすい順に示して下さった一覧から、もちろん一番弾きやすいものだったから。それと、しょっちゅう出てくるモチーフのメロディーが、「〇〇サーン」と私の上の名前を呼んでるみたいに聞こえる!という講座仲間の言葉に乗っかったのもあります(^^)

ホールが良かったことも大きいかもしれませんが、本当に初めてくらいに、落ち着いてほぼ思い通りに弾けた本番でした。これも素直に嬉しい経験です。このところ身体も前より力まなくなり、ポンコツのお手手をそれなりにコントロールする意識とすべもついてきました。だから心が音楽に集中出来たのかもしれません。揺禅の効果…? があるのかはまだ確信ありませんが、演奏には身体が大事なのは確かです!

もう一つ確信したのは、このコンサートは、決して一般受けをする内容ではないけれど、芸術を伝える素晴らしいものだということ。下山先生の分かりやすく深い解説と、それぞれが真摯に作品の表現に向き合った演奏。エンターテインメントではないのです。でも、それこそ聞き応えがあって楽しいに違いありません。

10年経って分かる価値ある活動をして下さっている下山静香先生には、改めて感服いたします。自分もこの勉強をライフワークとして真摯に取り組んでいきたいと思います。

5月の例会

下書きのまま時間が経ってしまって💧まあいいか。

先日の日本スペイン音楽学会の例会は、とても興味深かった。

グラナドス自身の演奏が私たちに伝えてくれるもの、についてのお話。

ピアニストとして楽曲に向き合った時、どのような演奏をするべきか。いつの間にか、こうあるべきというような“正統性”に囚われ過ぎてこなかったか。ある名演をお手本のようにすることがまるで正しいように、それこそがスペイン的であるかのように思ってしまっていないだろうか。

グラナドスの演奏は、もう少し自由でおおらかだったりロマンティックだったりテンポも遅かったり。でも、とても素敵だ。そこから学び取れるもの、演奏に生かせるものはないか?もっと多様な表現はないだろうか。

要約するとそのような内容だったかと思う。とてもとても耳の痛いお話である。グラナドス作品に限らず、巨匠と言われるピアニストの演奏を聞いて、こうすべきなのかな、と何も考えず寄せてしまうこと、すごくある・・・そして寄せただけで終わってしまったり、模倣が目標になってしまったり。〇〇はこうあるべきでしょう?みたいな考え方から抜け出せなかったり、よくしてたと思う...

幸い、色々な感動の経験を積んで年を重ねるとアタマも柔軟になってくるもので、今はこうしなければならない、という考え方はずいぶん無くなってきているが。

でもいつも気をつけて心に留めておきたいと思う。表現の仕方は決まった正しいものがあるのではないということ。演奏者一人ひとりが考えて作る音楽がないと、良いものにならないこと。

そんなことを考えさせてくれた講義でした。